埼玉大学同窓会
 

会長挨拶

埼玉大学同窓会会長挨拶


MrTachi

 教育学部の金子美智雄前会長の後任として、令和4年から2年間、同窓会長をお引受けすることになりました舘逸志です。私は、経済学部を昭和56年3月に卒業後、経済企画庁(現内閣府)に入庁し、平成29年まで35年余にわたり様々な官庁で公務に携わってきました。勇退後、母校への恩返しとして、寄附講座「実践ベンチャー論」を経済学部に開講し、そうした経緯もあって、平成30年から経済学部同窓会(経和会)の会長を務めております。


 人類は、今、これまで経験したことのないような存亡をかけた変革期にあります。一つはデジタル革命(DX)といわれる科学技術上の産業革命を経験していることであり、いま一つは気候変動に代表される人類生存の土台となる地球環境の激変です。今回のグローバルな新型ウィルス感染爆発も地球環境の変化との関係が指摘されています。更に、過去半世紀近く進んできた安全保障上の緊張緩和が逆回転を始め、極東を含めて軍事的緊張が急速に高まってきています。


 同窓の皆さんの中にも、こうした社会の激変に大きな影響を受けている方々がおられると思います。特に、在校生の皆さんにとっては、開学以来のショックにさらされた学園生活、研究生活であったことでしょう。新型コロナウィルス感染のため、令和元~2年度は卒業式、入学式が従来方式で行えない異例の事態でした。過去2年間は、卒業前後の華やいだ学友との交流も限られ、新入生はキャンパスライフを本格的に経験しない状況でオンライン学習中心の生活を強いられました。デジタル革命の進展は学習効率を高めた面もあるかもしれませんが、対面での五感を通じての刺激が限られたことは、矢張り不自由で不満も大きかったでしょう。


 自活している学生さんにとっては、アルバイト口が減り、経済的にも厳しい状況に置かれた方も多数おられました。同窓会としても、大学とともに奨学金の充実に協力をさせて頂きました。坂井学長主導で進められた100円食堂など、様々な支援もありましたが、こうした在学生支援のためにも同窓会活動の活発化とそれによる日ごろからの同窓ネットワーク充実・寄附財源拡充が必要であると痛感しました。


 埼玉大学同窓会は、学内5つの学部同窓会の連合体となっており、現在のところ、ほとんどの活動は各学部同窓会が主体となっています。連合体として独自の事業は、大学と共同での終身会費の徴収と各学部同窓会への配分、将来に向けた名簿整備といった基本的な機能を除けば、大学と共催しているホームカミングデーや有志が開催しているゴルフ会などに限られます。今後の同窓ネットワークの拡充のためにも連合体としての特徴を活かした多様な活動の充実が求められます。


 本年は、日本の近代教育体制である学制開始150周年に当たります。新制大学としての埼玉大学開学後から数えると73年目に当たり、この間の学生数は、現役生も加えると10万人に達しています。ノーベル賞受賞者の梶田博士を始め、研究教育、文化芸術、経済・行政の各分野で傑出した人財を社会に送り出してきています。東京近郊に立地する国立大学であるために、埼玉への地元意識や同窓の繋がりにおいて、まだまだ弱いところがあります。同窓会としては、埼玉プライドを高め、地元愛や同窓愛を深めていくために、学年、職域、地域での同窓活動を地道に広げて行きたいと考えています。在学生や若い同窓生が、埼玉大学に進学し、卒業して本当に良かったと思えるように、同窓の力を結集して行きたいものです。


(令和4年9月23日記)